溺れるナイフ


 映画で描かれた光 好きな人は光を発するというのがなんとなくよくわかる。  

 

そしてその光がまたたくようだったり、陰ったり、みえなくなったり、 それは好きという感情の減少だと思ってた


 全能感・自分は何でもできるという感覚にその人が満ちているか、 自分が全能感にみちていて、相手が照らされ光輝くのか、よくわからないけど、、全能感が関係しているんだなとおもう。

  なんでもできると思っている人は輝いている。


 溺れるナイフの中での光に関しての描写が、腑に落ちた。 コウもナツメも、光を発しているときは、全能感でみちていた。 


 はじめに映画をみて感動したので、2度目は、漫画を読んでからにしようとおもって、漫画の1巻を開く。 


 「そのころ わたしはまだ12歳 全てを知ることができる 全てを手に入れることができる 全てを彼に差し出し共に笑い飛ばす権利が自分にのみ有るのだと思い込んでいた」  


次のページは首を絞めあうコウとナツメ 


 「私が欲するのは、例えるなら 稲妻が体を貫くような衝撃・熱・閃光 もっともっと目が回るほど息がとまるほど震えるほど」 


 プロローグに、ひきつけられた

シャープでカミソリのようなヤバい漫画かもと期待がひろがる。 

(実際、少女漫画という枠ではくくれない、相克、葛藤、にあふれている)


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 山戸結希監督は 日本の女の子にとって転換期になるような作品にしたかったといっています

 http://am-our.com/love/54/13675/ 抜粋 


「ちゃんと何かを望んだり願ったり、欲望する主体として夏芽を撮りたかったんです。今までずっと、女の子は欲望される側の被写体として映画の中で描かれてきたからこそ。それはもちろん誰が悪いとかではなく、そういう歴史のほうが長い、という現状のセッティングを前にして、その歴史の転換期になるような作品にしなければいけないなと。  


日本の若い女の子が、「あっ、私と同じように何かを死ぬほど望んだりする女の子が、初めて主人公になる映画なんだ」って思ってくれるような映画にしたいなと思っていました。人生の主人公は、醜い感情だってかけがえなく孕んでいるはずで、それが光ってこそ映画になる。そんな主人公を、物語の水準までせり上がらせて、スクリーンに呼び込みたかった。そんな夏芽を、小松さんを通して撮らせてもらいました。」  


 長回しが多いのですがそれに関してこういうことだそうです。


 ―長回しのシーンが幾つか見られて、そこに夏芽と航一朗の距離や関係性が感じられました そこに意図したものはありますか?  


正直に言うと、その日の気分ですね(笑)。でも海とか池とかって、前の日に雨が降ったり、潤ったり渇いたり、コンディションも全然違うから。その日に見て生きたものとしての風景に当て書きする感覚があるのかな。その海や池を見て、その波紋を感じると、ここは長回しのほうがいけるなっていう気分になる。結果的に水のシーンの長回しが多い気がします。波とかは、カットしないほうが静かな時と波打つ時と違いがあって、そういうものを感じていたからかもしれないです。世界が呼吸してる感覚を、映画に生かしたいですね。


 ――全体を通して醸し出すムードが大島渚監督の青春映画のような、揺れたり不安定なズームなどの撮り方がいい意味で荒っぽくて、メジャー映画ではなかなか感じられない衝動的な部分が多々ありました。 


 今まで、衝動的なものを作ろうとしたことは全然なくて。でも結果、そうなっちゃってますもんね(笑)。この作品の場合はほんとに生の傷が映って、それだからこそ輝いて、不思議ですよね。  それはすごく不思議で、ベテランのカメラマンの柴主(高秀)さんですら揺らぎながら、あの現場の熱の中に居たんだなぁって。もちろん現場でモニターを見ているんですけど、波でも熱でもそういう風に撮れてしまうというか撮ってしまったというか、事後的な衝撃感がすごくある撮影でしたね。でも傷だらけだからこそ、何度見てもフレッシュに蘇るんでしょうね。人間が作ったっていう証拠だから、傷は。そうやって芸術は愛されてきたのかもしれません。一点の曇りもない物だけが美なんじゃなくて、曇り空だって、人の心を揺さぶりますよね。

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 この話の中にもあるように、全体を通して、生の傷がうつっているというか 緊迫感や、この世のすべてに追い込まれる感じが描かれている。 


長回しはその時その時の皮膚感覚で、やっていたそう。

でもそれが勢いをあたえ、臨場感を感じさせてくれます 不安定さブレている感じも、評価サイトでいわれているみたいに、クオリティー云々どうこういうつもりにはなれない


青春の不安定さを必死に演じ、必死に監督し、必死に撮る。17日で撮影したとのこと、たったそれだけでこういうものが生み出せるなんてすごいな。

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 心に残ったシーン 


 ・水路、かけっこからのキスシーン これはお洒落だなと思った。 フランス映画のよう。


 ・火のシーン



 松明の火が震える音

 画面に広がる赤 

祭り振動とナツメの願いの挿入

 水の泡の音

 鑑賞後も心がざわつく

 

 山戸監督は、菅田将暉さんの、火祭りの場面では、心から悲しみがあふれ出ているような踊りを見せてくれた」と語る。 http://www.sankei.com/entertainments/news/161104/ent1611040002-n1.html 


 ・ラスト 


ナツメの妄想 青臭いけど、2人の掛け合いが、どうしても涙をさそう。 お互いの印象だったり、好きなところだったりを叫びながら 最後トンネルをぬけて、モノクロになるシーン 映画がおわってしまう、二人も終わってしまうと悲しくなりますが、 漫画を読んだので

そうかそうか、本当によかった。と思えた 


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 ジョージ朝倉さんが公式サイトで 「若い子が観て人生が狂っちまえばいいなっ!って酷く思いました。」 とコメントしてます

 

たしかになにかの衝動にかられる。 

見終わった後もっと好き勝手に生きてみようと思えた。  


そして、毒にも薬にもなる作品、なるほどおっしゃる通りとおもった。

 気安い少女漫画ではないし、少女映画でもない。 http://rollingstonejapan.com/articles/detail/26971/5/1/1 


 また、人の心を動かすために、悩みぬく執念を感じた。


 山戸監督ハリウッドでいつかリメイクを作りたいそうです。 漫画では一番心に残った 11巻のコウはオウジに「おまえのことは全部わかる」というところが個人的に みたいな。

 http://www.houyhnhnm.jp/feature/15359/ 




椿

こういう空って、ふとみたらあったとかありえないから、きっと待ったんだろうな。。

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最後に、 この映画は、安定感のあるしっかりした映画を求める人にはおすすめしない。 

 ただ、自分にとって光を発するものは 自分で判断するべきで視聴率や他社の評価は気にしなくてよいなと思う。

映画館で2回みて、3回目も見たいと思える映画



 好きな人になにもしてあげることができない、 一緒にいても傷つけるだけで幸せにできない。 とおもっている人 


 業の深い人 


 10代の人にみてほしい。

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